花梨の大木

風邪をだらだらと引いているせいか体がすっきりせず
だるい日が続いている。
のどの痛みから、痰に移り今日は鼻水が
止まらなくなってきた。
頭が重い。

東京はこのところ暖かくすごしやすいが、
冬支度をしないとならないのに、
暖かくいまだに秋の装い。

久しぶりに通夜に行くために黒のスーツを着た。
これを着たのは義理の兄の葬式のときだった。

今日の通夜は堀之内の妙○寺。
この寺の境内にある静堂で通夜と告別式がある。
訪れるのは２８年ぶりである。

通夜がある寺のそばに僕が通った学校がある。
寺の境内には大きな花梨の大木があった。

今からちょうど３０年ぐらい前の今の季節のことである。
夜は冷え込んで教室のガスストーブにあたっていた。
学園祭の準備などで追われていたときに、
仲間とここの境内まで散歩しに来たことがある。

花梨の大木は大きな実をたくさんつけていた。
当時は花梨という木や果実の知識もなかった。

ただ西洋梨みたいですごく美味しそうに見えてしまった。
そのままではとでも生では食べられない果実だ。

当時お調子者に近い僕はその大木に登り
花梨を一つ失敬した。（反省しております。）
香りがすごくよかった。
食べられませんでした。

故人には心からご冥福をお祈りいたします。